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中間省略登記について調べてみました

民法Ⅱ(債権法)の授業中に債権者代位権の転用について学習しました。
そこで次のような問題を検討しました。
--------------------------------------------------------------------
土地がAからB、BからCへと譲渡された。登記はいまだAの下にあるがBが登記名義の移転に協力してくれない場合、Cはいかなる手段を採れるか。
--------------------------------------------------------------------
考えられるのは①中間省略登記の請求と②債権者代位権の転用という二つの手段です。

授業中に得られた結論というのは、「①中間省略登記は昨今の不動産登記法改正によってほとんどできなくなった。だから②債権者代位権の転用という手段をしっかり考えなければならない。」というものでした。
僕は「えっ?中間省略登記って例外的にでも認められなくなったの?」と疑問に思ったのですが、授業時間が押していたため空気を読んで質問しませんでした。代わりに「2月末までに中間省略登記について調べる」と手帳に書いていました。手帳のスケジュール欄に「中間省略登記」と書かれていたので、思い出して調べてみました。
せっかくなので調べたことを書きます。
▼中間省略登記とは
中間省略登記とは、例えばA→B→Cへと売買が行われた場合、中間のBを経由することなく、A→Cに直接所有権移転登記等を行うことをいいます。
従来、中間省略登記は不動産業者等を中心に、登録免許税や不動産取得税等の経費をスルーするための登記手法として利用されてきました。

▼判例の立場
昭和40年9月21日に最高裁は、登記名義人A,、中間者Bの同意がある場合に限りA→Cへの中間省略登記が「例外的な便法」として認められると判示しました。
近年の裁判例は中間者の同意がなくても中間者の保護に値する法的利益を損なうことがなければ中間省略登記を認めるまでに至っています。

▼登記行政側の建前
しかし、この判決の流れに対して登記行政が真っ向から反論しています。
いわく、「結果的に中間者等の同意があれば判決で中間省略登記が可能となったとしてもこのことをもって中間省略の登記申請ができるとしたわけではない」。
つまり登記行政の現場では、判決による中間省略登記申請については例外的に受理していたのであって、通常の登記申請の場合中間省略登記は認められないという立場が採られていました。
個別の裁判をして判決が出れば、登記官が中間省略であることを知っていても(仕方なく)登記をさせてやるよ、という建前です。
これは、“権利変動の過程を正確に登記簿に反映する”という登記行政の趣旨からしてもっともだといえます。そもそも、中間省略登記はある種の脱法行為として行われていたに過ぎないのですから・・・。

▼従来の実務
登記行政側の建前はさておいて、不動産登記法改正前は、実務上「申請書副本」により事実上中間省略登記ができていました。
物権変動の原因となる法律事実の成立を証する書面である「登記原因証明情報」の添付が必須ではなく「申請書副本」(登記申請書の写し)で足りたため(旧不動産登記法40条1項)、中間者の登場しない添付書面(登記義務者A、登記権利者Cと記載された申請書副本)で登記ができたのです。
「原権利者から中間者を経て新権利者へと物権が移転しましたよ」という事実を登記官に確認されることなく登記申請を行えるような仕組みになっていたのです。

▼法改正後の中間省略登記に関する実務
ところが2005年に不動産登記法が改正され、登記申請に際し「登記原因証明情報」(売買契約書等)を必ず添付しなければならなくなりました。「申請書副本」では「登記原因証明情報」の代わりになりません。
→登記原因証明情報が必要
→中間者の記載なき登記原因証明情報=ありえない=登記申請に遺漏あり
→申請却下
ということになります。

これにより、事実上中間省略登記は認められなくなったようにも思われました。中間省略登記の運用が不明確となり混乱が生じたともいえます。

▼規制改革・民間開放推進会議の方針
こうした混乱のなか2006年の年末になって中間省略をめぐる不動産登記実務に大きな変化がありました。
内閣府規制改革・民間開放推進会議が、「第三者のためにする契約」で登記可能であることを周知徹底させ、中間省略登記の申請の可否に関する実質的な問題解決を図る方針を固めたのです。
国土交通省もこの流れを受け、「第三者のためにする契約」を用いて便宜的に所有権を中間のBに一度も移さずに、Aから直接Cへ移転させる取引を認める方針をとっています。

▼「第三者のためにする契約」により事実上中間省略登記が可能に
「第三者のためにする契約」による事実上の中間省略登記を行う場合、次のような構成をとります。
1、売主A、中間者B、買主Cとする。
2、まずAB間で所有権移転・引渡しをBが指定する第三者Cに対して行うことを目的とする「第三者のためにする契約」を締結する。(Bが売買代金全額の支払いを行ったとしてもBに自動的に所有権が移転しないよう「買主への所有権の移転は買主自らの指定する明示の意思表示があったとき」とする特約を忘れずに付ける(所有権留保特約)。)
3、BC間でA所有不動産をCに売却する売買契約を締結し、AがCに直接に所有権移転・引渡しを行う特約を行う。
4、以上よりCがBに売買代金全額の支払いをなしたとき、A→Cの所有権移転が完了する。

この構成をとるとA→Cと権利変動が生じるため、A→Cの登記をすることができるようになります。
事実関係が登記原因証明情報により確認できるので申請は受理されるのです。
結果的に中間省略登記と同様の効果が発生しますが、登記行政側からすれば「中間省略登記を認めたわけではないよ」という建前も残るわけです。
めでたし、めでたし

▼債権者代位権の転用の活用の余地
とはいっても、ABが第三者のためにする契約を締結してくれなければ(事実上の)中間省略登記はできません。
よって、Bが登記名義の移転に協力してくれない場合、Cは自らがBに対して有する登記移転請求権を被担保債権として、BのAに対する登記移転請求権を代位行使する手段を採ることが効果的かも!?ということになります(債権者代位権の転用(民法423条))。
以上より、「①中間省略登記は昨今の不動産登記法改正によってほとんどできなくなった。だから②債権者代位権の転用という手段をしっかり考えなければならない。」という授業で教わった知識は一面では正しいといえます。
ただ、「①中間省略登記は昨今の不動産登記法改正によってほとんどできなくなった。」という点については、「いや、事実上認められているよ」と指摘することもできるので注意が必要です。

この問題は、「訴訟上請求できる」という問題(登記請求の問題)と「登記制度上認められる」という問題(登記行政の問題)を混同するとわからなくなります。
注意したいですね
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